市原グリークラブ

創立30周年記念コンサートで歌う「ローレライ」

 

  市原グリークラブ・コールレルヒ創立30周年記念コンサートで歌うドイツ歌曲にローレライがある。「なじかは知らねど心詫びて…」で始まる日本語訳で知られるこの曲は、私の中学二年の音楽の教科書に出てきて大変好きな曲だったことを覚えています。


 市原グリークラブに入団して何度となく歌ってきましたが今でも大好きな曲です。「なじかは知らねど」を「なぜかは知らねど」と長い間間違って歌ってきたことをドイツ語の響きはすっかり忘れさせてくれます。


 オーストリア留学中にライン下りでローレライを訪問した事のある山本康童先生のお話から、その悲しい物語を秘めた風景を写真で見て想像を膨らましながら歌ってきましたが、いつかは団員全員でローレライを訪問して遊覧船の上でローレライを合唱しドイツ人を驚かせようと思っていたのは私だけではあるまい。


 しかしあれから30年、この夢を実現するにはもう遅いと思える歳になってしまいました。先生が「ローレライをこんなにイメージを膨らませて遊覧船の船上で歌いたいと思っているのは日本人くらいではないだろうか。」と言っていたのを聞いて、この曲の持っているメロディの素晴らしさもさることながら、訳のわからない訳詞で日本人の幻想を膨らまし続けた近藤朔風の訳詞に感謝です。



日本語訳を紹介します。


1 なじかは知らねど 心わびて

  昔の伝説(つたえ)は そぞろ身にしむ

  寥(さび)しく暮れゆく ラインの流(ながれ)

  入日に山々 あかく映ゆる


2 美し少女(おとめ)の 巖頭(いわお)に立ちて

  黄金(こがね)の櫛とり 髪のみだれを

  梳(す)きつつ口吟(くちずさ)む 歌の声の

  神怪(くすし)き魔力(ちから)に 魂(たま)もまよう


3 漕ぎゆく舟びと 歌に憧れ

  岩根も見やらず 仰げばやがて

  浪間に沈むる ひとも舟も

  神怪(くすし)き魔歌(まがうた) 謡(うた)うローレライ


原語では


1.Ich weiß nicht, was soll es bedeuten,

       daß ich so traurig bin;

       Eein Mӓrchen aus alten Zeiten,

       Das kommt nicht aus dem Sinn.

       Die Luft ist kühl und es dunkelt,

       Und ruhig fließt der Rhein;

       Der Gipfel des Berges funkelt

       Im Abendsonnenschein.


2.Die schӧnten Jungfrau sitzet

       Dort oben wunderwar,

       Ihr goldenes Geschmeide blitzet,

       Sie kӓmmt ihr goldenes Haar.

       Sie kӓmmt es mit goldenem Kamme.

       Und singt ein Lied dabei;

       Das hat eine wundersame,

       Gewaltige Melodei.


3.  Den Schiffer im kleinen Schiffe

       Ergreift es mit wildem Weh;

       Er schaut nicht die Felsenriffe,

       Er schaut nur hinauf in die Hӧh’.

       Ich glaube die Wellen verschlingen

       Am Ende Schiffer und Kahn;

       Und das hat mit ihrem Singen

       Die Lorelei getan.



日本語の直訳では(桐田が勝手に修正分あり)


1.私には何を意味しているのかわからない、

       私がこんなに悲しいことが

       昔からのある一つの

       語り継がれてきたお話が心から離れない。

       冷たい空気漂い始めだんだんと暗くなるころ、

      ラインはいつものように静かに流れている

      突然、山の頂上はきらきら輝き始める

      夕日の光で


2.   この世にないくらい美しい乙女が座っている

      あそこの岩礁の上に

      その乙女の胸元にはきらきらと大きなブレスレットがきらめいている

     その乙女は長い髪を

     くつろぎながら金色のくしで髪をとかしている。

      遠くから響く美しい歌を歌いながら

     その歌は不思議にも強いメロデイーを持っている


3. 小さな船の船乗り達を

      その美しい歌は荒々しい悲しみをもって虜にする。

      その船乗りは岩礁に気が付かず.

      その船乗りはただ岩礁の高いところの乙女に目を奪われている

      急流のいくつもの荒らしい波が

      ついには船乗りと小舟を飲み込んでしまう

      そしてそこにはいつもその歌が流れている

      今でも、それはきっとローレライの魔女の仕業なのだと思ってしまう。


 この直訳を読んでからもう一度、近藤朔風の日本語歌詞に戻ってみて、この訳詞の偉大さを感じますが、今の日本人にはあまりにも難しく、この難しさのゆえにローレライの幻想がいやが上にも大きくなるのではと思うのは私だけだろうか。

世にも美しい乙女がローレライの岩礁に立ちラインを下る船員たちを虜にして惑わしていたのではとする物語は、増水した急流で岩礁に乗り上げて沈没事故が絶えなかった悲劇を語るにはあまりに幻想的な香りを漂わせてくれて、私たち日本人を引き付けているのでしょうか。

 ドイツを訪問することは無理かもしれませんが、YOUTUBEでローレライのライン下りを経験してみるのもいいかなと思っています。

 コンサートでは、ローレライに住み着いている魔女の姿とこれに見とれている船員の姿を自分に重ねながら、この物語を高らかに歌い上げたいと思います。

                              

   

   バス:桐田

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